弁護士による相続相談【弁護士法人心 海浜幕張法律事務所】

遺言とエンディングノートの違い

  • 文責:所長 弁護士 羽藤英彰
  • 最終更新日:2025年1月8日

1 遺言とはどのようなものか

ここ数年で、いわゆる「終活」が重要視されてきており、テレビや雑誌などで目にした方も多いと思います。

遺言(ゆいごん)という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

遺言は、民法という法律において定められている書面です。

遺言を作成しておくことで、自分(遺言者)が亡くなった際に、誰にどのくらい遺産を取得させるかなどを決めておくことができます。

遺言の種類としては自筆証書遺言や公正証書遺言というものがあります。

これらはいずれも形式や手続が法律で定められており、これらに反すると無効となってしまうことがあります。

自筆証書遺言は、原則として遺言者がすべて自筆で書く必要があり、作成した日付や遺言者の名前を正確に記載し、遺言者の押印もしなければなりません。

公正証書遺言は、基本的には公証役場で公証人を通じて作成する遺言です。

公証人は元裁判官など、法律の専門家ですので法的な不備で遺言が無効になるということは通常ありません。

2 エンディングノートとはどのようなものか

エンディングノートには決まった定義はありません。

一般的には、エンディングノートは、自分が亡くなった時に備えて、自分の財産などの情報を一冊にまとめておけるノートのことをいうことが多いと思われます。

書店などでいろいろな種類のエンディングノートが販売されているのを見た方もいるのではないでしょうか。

エンディングノートには、自分の財産に関する情報(財産の一覧や所在地、ログインが必要な銀行のウェブサイトのID・パスワード等)や、お墓に関する情報を記載したり、親族に伝えておきたいメッセージなどを記載することが多いようです。

3 遺言とエンディングノートの違い

遺言とエンディングノートは、法的には全くの別物です。

書き方にもよりますが、遺言には法的な効力がありますが、エンディングノートには法的な効力がありません。

遺言がある場合には、自分が亡くなったとしても、その遺言に書いたとおりに自分の財産を取得させることができます。

つまり、自分の最後の意思に法的な効力を持たせることができるのが遺言なのです。

エンディングノートにはこのような法的な効力はなく、生前に作成して遺したとしても、エンディングノートに書いたとおりのことが法的に実現するということはありません。

もし、エンディングノートと遺言が同じものだと認識されている方がいらっしゃる場合は、自分の最終意思に法的な効力を持たせられないばかりか、残された相続人が大変な思いをして遺産分割協議をすることになってしまうかもしれません。

そのような事態を避けるためにも、相続について弁護士に相談してみることをお勧めします。

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